
こんにちは!オンライン話し方教室【ボイスプロデュース】代表講師の福永智樹です。
あなたはこのようなお悩みをお持ちですか?
「滑舌が悪くて、よく聞き返されてしまう」
「すぐに噛んでしまって、滑らかに話せない」
もしそうであれば、あなたは「舌足らずな話し方」をしているかもしれません。
今回紹介する、舌足らずな話し方の治し方を1日3分実践していけば、どんどん滑舌がよくなります。
実際に私の話し方レッスンの中でも同じ方法を用いていますが、舌足らずな話し方をする人は必ず改善しています。
今回は舌足らずな話し方の治し方や、簡単に滑舌をよくする方法まで、丁寧に解説していきます。
舌足らずとは?どんな意味?
「舌足らず」と聞いても、実際にどのような意味なのか、正しく理解できている人はあまりいません。
「舌足らず」の意味について把握しておきましょう。
舌足らずの意味
1 舌の動きが滑らかでなく、物言いがはっきりしないこと。また、そのさま。「舌足らずなしゃべり方をする」
2 言葉数が足りず、十分に言い尽くせていないこと。また、そのさま。「舌足らずな文章」「舌足らずな説明」
出典元:デジタル大辞泉
簡単に言うと、このようになりますね。
①発音が不明瞭
②説明が不十分
このように2通りの意味があります。
今回は記事では、①の「発音が不明瞭」という意味の「舌足らず」について、主に解説したいと思います。
どんな特徴があるの?
簡単にまとめると、舌足らずな話し方には下記のような特徴があります。
◎舌足らずな人の特徴◎
- 正しく発音できていない行がある
- 聞き返されることが多い
- よく噛んでしまう
- 音声認識ソフトで正しく認識されない
- 幼い印象がある
- 話し方に説得力がない
ここからはより具体的に説明していきます。
正しく発音できていない行がある
舌足らずな人には正しく発音できていない、もしくは発音しづらい行があります。
代表的なものとしては、「サ行」「タ行」「ナ行」「ラ行」の4つの行です。また、「ザ行」「ダ行」の濁音に関しても正しく発音できない人が多いです。
これらの行の発音の共通点は、子音の発音に舌を上手に使う必要があるということです。
※改善方法については後ほど、詳しく解説します。
聞き返されることが多い
舌足らずな話し方をすると、一つ一つの言葉が不明瞭になります。それによって、声そのものは小さくなかったとしても、話す相手から聞き返されることが多くなります。
ゆっくりと言い直すことで伝わる場合もありますが、そもそも正しく発音できていない行が多い人は、何度言い直しても伝わらない場合もあります。
よく噛んでしまう
緊張等にによっていつもよりも早口になってしまい、話していると途中でよく噛んでしまいます。多くの場合、口の動きと舌の動きが硬いことが原因です。
音声認識で正しく認識されない
iPhoneのSiriなどの音声認識システムは、文字を手で入力せずに済むため、大変便利なシステムです。しかし、舌足らずな話し方では、正しく認識してもらえず、使用するのが非常に難しいでしょう。
このように、音声認識システムを正しく使えるかどうかという点は、舌足らずを改善していく上で、一つの目安にも使えそうですね。
幼い印象がある
舌足らずな人は舌を滑らかに動かすことができないので、話すスピードが遅く、ゆったりとした話し方になります。
また、上手く発音できない言葉が多いため、使用する単語の数が少ない傾向にあるため、小さな子どもと話している感覚に相手はなるようです。
話し方に説得力がない
舌足らずな人の話し方には説得力を感じないことが多くあります。
ゆったりとした話し方により抑揚がつかないこと、また上記の「幼い印象」により、柔らかな可愛らしい口調になってしまうことが理由に挙げられます。
舌足らずの原因
ここまでは、「舌足らず」の意味や特徴についてお伝えしてきました。次に「舌足らず」の原因は何なのか、解説していきます。
◎舌足らずの原因◎
- 舌の筋肉が弱い
- 舌が緊張している
- 舌小帯が短い
- 歯並びが悪い
ここからはより詳しく解説していきます。
舌の筋肉が弱い
舌足らずな話し方をする人の一番多い原因は、「舌の筋肉が弱い」ということです。一般的に子どもとお年寄りに滑舌が悪い人が多いことからも、イメージしやすいと思います。
舌の筋肉が弱いと、発音する時に舌が上手く動かなかったり、舌の位置がずれたりしてしまいます。
口を閉じた状態で、舌はどの位置にありますか?上あごについていればOKです。(上あごのへこんでいるところ)
舌先が上歯の裏側についていたり、上あごから離れて下に落ちいるといたら、低位舌(ていいぜつ)という状態で、舌の筋肉が弱いということです。
※低位舌は歯並びが悪くなったり、口呼吸になるなど、滑舌以外にも影響が出てきますので、しっかり改善したいですね。
舌が緊張している
話す時に舌が緊張してしまうと、硬くなり動きが悪くなってしまいます。
リラックスしている時は問題なくても、人前で話したりする時、知らず知らずの内に舌に余計な力が入ってしまう人が多いです。心も身体もリラックスさせることが大切です。
舌小帯が短い
舌小帯(ぜつしょうたい)とは、舌の裏側にあるスジのことです。この舌小帯が舌の先に近いところについていたり、短かったりすることを「舌小帯短縮症」といいます。
判定方法としては、大きく口を開けて、舌先を上あごにつけてみましょう。なかなかつかない人は舌小帯短縮症の可能性があります。
軽度、中程度、重度と、それぞれ状態は異なりますので、気になる人は一度病院を受診されることをおすすめします。
機能訓練で改善される場合もあれば、手術も必要になる場合もありますので、医師に相談しましょう。
歯並びが悪い
歯並びが悪いと、特に「サ行」の子音の「s」、「ザ行」の子音の「z」の発音が難しくなります。それによって間違った舌の使い方で発音することが癖づいてしまいます。
しかし、正しい滑舌トレーニングによって改善されるケースがほとんどです。まずは滑舌トレーニングをしっかり行い、それでも難しい場合は歯並び矯正を考えるといいでしょう。
舌足らずの治し方
いよいよここからは、舌足らずの治し方について解説していきます。全てを同時に取り組むのは難しいと思いますので、優先的にやって頂きたい方法からお伝えしていきます。
舌の筋肉を鍛える
舌足らずを改善する上で一番大切なことは、舌の筋肉を鍛えることです。
たくさんの種類がありますが、一つずつチャレンジしてみましょう。
舌を大きく回す
特に鍛えられる箇所は、舌の付け根の「舌根(ぜっこん)」です。顎の下の弾力のある場所が舌根になります。
時計回り、反時計回りにゆっくり5周ずつ回してみましょう。おそらく舌根がかなり疲れるはずです。慣れてきたら10周ずつやって頂いても構いませんが、一度にたくさんやるというより、一日の中で3セット分けてトレーニングをしていくと効果的です。
この舌根を鍛えることで、滑舌がよくなるだけでなく、声を出す時に喉の奥が広がり、はっきりとした声が出るようになります。
また人によっては、ほうれい線が目立たなくなったり、輪郭が引き締まることもあるようですので、特に女性の方に人気のあるトレーニングです。
舌を鳴らす
舌先を上あごの奥のくぼみの位置に押し当て、「たっ!」という音を鳴らすします。舌全体の筋肉を使うことで、はっきりとした音がなるようになります。
こちらの音声をお聞きください。
まずはゆっくり行います。慣れてきたら少しスピードを上げて、連続で行いましょう。出来るだけ全ての音が同じ大きさになるように調節してみましょう。
あっかんベえ
「あっかんベえ」で舌を大きく外に出します。
トレーニング方法は2つあります。
①ゆっくり10回、舌を出し入れする(毎回同じ動きになるようにしましょう)
②舌を大きく外に出したまま10秒キープ
舌を正しい位置に収める
舌の正しい位置は上あごの奥のくぼみでしたね。下に下がってしまう人は「低位舌」という状態です。
習慣づけがとても大切ですので、舌を上あごの奥のくぼみにつけた状態で、10秒キープします。慣れてきたら、20秒、30秒と伸ばしていき、最終的には正しい位置に舌があることが当たり前になるようにしましょう。
毎日トレーニングすることによって、舌の位置のことを思い出す回数も増えていくはずです。
苦手な発音を見つける
苦手な発音を見つけるためには自分の本当の発音を確認する必要があります。普段聞こえている自分の声と、周りの人が聞いている声は全く違うように感じる人がほとんどです。
※詳しくはこちらのページをご覧ください。
録音した自分の声が気持ち悪い【本当の声を好きになる方法】
スマホに音声を録音できるアプリがありますので、下記の言葉を大きな声で録音してみましょう。
「さーしーすーせーそー、さしすせそ」
「ざーじーずーぜーぞー、ざじずぜぞ」
「たーちーつーてーとー、たちつてと」
「だーぢーづーでーどー、だぢづでど」
「なーにーぬーねーのー、なにぬねの」
「らーりーるーれーろー、らりるれろ」
正しいバージョンと舌足らずバージョンの音声をそれぞれ載せておきますので、ご自身の発音と比べてみましょう。
〜正しい発音〜
〜舌足らずの発音〜
それぞれの行の練習
苦手な発音が明確になった人は、練習してみましょう。
サ行の発音
サ行の子音は「s」という音です。舌足らずの人はこれを「th」の発音にしている人が多いです。判定方法は、鏡の前でゆっくり「さーしーすーせーそー」と言いましょう。
「s」の音が出る瞬間に歯を閉じていますか?もしも上下の歯の間に舌先が付いていると、「s」ではなく、「th」の発音になっています。
この「th」の発音は、英語の「Thank you」の「th」になり、日本語の発音にはないものになります。
練習方法としては、上下の歯を閉じて、「スー」という音(浮き輪の空気が抜けるような音)で長く息を吐いてみましょう。そうすることで、舌先の位置が正しくなり、「s」の音が綺麗に出ます。
その「スー」の子音の後に、の母音の音を入れれば、正しいサ行の完成です。
こちらの音声をお聞きください。
また、「し」の発音は「s」ではなく、「sh」の音になります。「しゃ しゅ しょ」と言ってみてください。
その時の子音の音が「sh」になります。
「s」と「sh」の違いは下記の音声で確認してみましょう。
ザ行の発音
まずは「サ行」と「ザ行」の違いから説明していきます。 それは、子音が「無声音」なのか「有声音」なのかということです。
サ行の「s」は無声音、ザ行の「z」は有声音です。 これらの違いは、声帯が閉じているかどうかということです。
声帯が開いた状態だと、声帯は振動しません。これが無声音です。 そして声帯が閉じた状態だと、声帯が振動して音が発生します。これが有声音です。
試しに「s」の音を伸ばしながら、喉を手で触って下さい。何も振動はありませんよね?
次に有声音である「z」を伸ばしながら、喉を触ってみて下さい。振動がありますよね?これが有声音です。「z」の音を出すには、喉を振動させながら「s」の音を出せばOKです。
こちらの音声で、「s」と「z」の違いを聞いてみましょう。
慣れてきたら、「z」に母音をつけて、「ザジズゼゾ」と一つずつ練習していきましょう。
タ行の発音
「タ行」の発音は①「タ テ ト(t)」と②「チ(chi) ツ(tsu)」の大きく二つに分けられます。
このように日本語の「タ行」には、「タ ティ トゥ テ ト」と「ツァ チ ツ ツェ ツォ」が混ざっているので、少しややこしく感じるかもしれません。
①は舌を上歯茎の裏側につけ、息を止め、舌を勢いよく離して息を出して破裂した音です。「タ行」が苦手な人は、舌を押し付けておく力が弱い傾向にあります。
②は「s」を入れる感覚で、歯を閉じてやると分かりやすいはずです。
※苦手な人は舌が口の外に出そうになっているかもしれません。その場合はしっかり歯を閉じ、舌が上の歯茎から離れると同時に歯も開けましょう。
ナ行の発音
「ナ行」の子音の発音は「n」になります。これは「鼻音」といって、鼻をつまむと声が変わってしまう音です。そのため息は口ではなく、鼻から抜けていきます。
舌を上あごに強く当てる必要があるので、下記のように「n」の音を大げさに出すトレーニングを行いましょう。
「んーな、んーに、んーぬ、んーね、んーの」
ラ行の発音
ラ行は舌先(裏側)を上の前歯の裏側の歯茎に近づけて、下に滑らすように発音します。この時に舌の表側が当たってしまうと、「ダ」に近い音になりますので、注意しましょう。
舌の裏側を上あごに強く当てる必要があります。下記の音声のようにトレーニングを行いましょう。
※他の発音が気になる人は、下記のページをご覧ください。
【滑舌練習を大公開!】苦手な発音のトレーニングをしよう!
ボイストレーニングで発声を鍛える
舌足らずを改善するためには、声を出して練習する機会をたくさん作る必要があります。いくら滑舌がよくなったとしても、声そのものが小さいと、聞き取りづらい話し方のままになってしまいます。
今回は2つのボイストレーニングをご紹介します。
リップロールで通る声にしよう!
明るく芯のある声をつくるために、リップロールをやりましょう。
リップロールとは上唇に息を強くあてて、ブルブルと震わせながら声を出すトレーニングです。
しかし、舌足らずな人や、表情がかたい人はなかなか上手くできないことがありますので、両手を使います。両方の口角の少し下に指をあて、少し持ち上げます。
そうすることで、上唇に息が入りやすくなり、唇が震えてきます。鏡を見て指の位置と口角の上がり方を確認しながらやってみましょう。
※下記の動画を参考にしてみてください。
声帯の閉鎖筋を鍛えよう!
声帯を閉じる筋肉(閉鎖筋)を鍛えることで、大きくハリのある声を出すことができます。
「はっはっは〜」と大げさに笑ってみましょう。
できれば低めの声と高めの声で、2つのバージョンでやってみましょう。この時も鏡を確認しながら、口を大きく開けて大げさに声を出すことが大切です。
※もっと他のトレーニングもやってみたい方は、下記のページを参考にしてください。
大きな声の出し方のコツ16選【小さな声を改善しよう】
歯並びを治す
これまでの方法や練習を重ねてもなかなか改善が見られない場合、歯並びに原因があるかもしれません。
特に、「s」の発音が上手くできない場合は歯科医に一度相談し、必要があれば矯正も考えた方がいいかもしれません。
誰でも簡単にできる滑舌練習
これまでご紹介したトレーニングの中で、特に毎日やって頂きたいものをお伝えします。一日3分もあれば練習できますので、チャレンジしてみましょう。
①舌を回す(5周ずつ)
②舌を鳴らす(30回)
③苦手な行の練習(1回ずつ)
「さーしーすーせーそー、さしすせそ」「ざーじーずーぜーぞー、ざじずぜぞ」
「たーちーつーてーとー、たちつてと」「だーぢーづーでーどー、だぢづでど」
「なーにーぬーねーのー、なにぬねの」「らーりーるーれーろー、らりるれろ」
⑤リップロール(10秒3回)
⑥「はっはっは〜」(低い声、高い声でそれぞれ5回ずつ)
まとめ
◎舌足らずの原因◎
舌の筋肉が弱い
舌が緊張している
舌小帯が短い
歯並びが悪い
◎舌足らずの治し方◎
舌の筋肉を鍛える
苦手な発音を練習する
ボイストレーニングで発声を鍛える
歯並びを治す
いかがでしたでしょうか?舌足らずを改善して、話し声に自信を持つことができれば、仕事でもプライベートでも、話すこと自体がもっと楽しくなります。また、周りからの印象もより良くなるはずです。
一度しっかりと舌足らずを改善し、話し方の習慣を変えることで、たくさんのメリットがあります。あなたにできることから、是非チャレンジしてみてください。
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