
オンライン話し方教室「ボイスプロデュース」代表講師の福永智樹です。
今回は、声を大きくする方法や日頃から意識すべきポイントやコツを解説します。
小さな声で損してませんか?
大きな声の出し方が分からずに小さな声で話してしまうと、日頃から損をすることが多いはずです。
このようなことはありませんか?
○「元気がない」と決めつけられてしまう
○「もっと大きな声で話せ」と上司から叱られてしまう
○自信がないように見られる
○相手から聞き返されることが多い
○人前で大きな声が出せない
でも、安心してください。スポーツと同じように正しいトレーニングを行えば、大きな声を出すことはできます。
目次
すぐにできる簡単な発声トレーニング
声を大きくする方法の中で最優先にやるべきことは、声帯を閉じる筋肉である閉鎖筋(へいさきん)を鍛えることです。
これを抜きにして、大きな声を出すことは難しいと考えてください。
大きく笑う
「はっはっは〜」と大げさに笑ってみましょう。
できれば低めの声と高めの声で、2つのバージョンでやることをおすすめします。
低めの声→アニメに出てくるような悪役や大魔王などをイメージして、太く暗い声で笑う
高めの声→アニメに出てくるヒーローが参上する時のようなイメージで、明るい声で笑う
〜参考音源〜 ※大げさに声を出すのがコツです。
長時間やりすぎると喉を痛めてしまうこともありますので、無理はしないようにしてください。
エッジボイスを出す
大きく笑う練習の次は、「エッジボイス」に挑戦しましょう。
「あ」の口をしたまま息を吐き、少しずつ声を出していくと、「あ゛」という音が出ます。
これがエッジボイスです。
これを一定に長く続けていきましょう。あまり力を入れると喉を痛める事もありますので、リラックスした状態で行いましょう。
そして慣れてきたら、「あ゛」から「あ」につなげていきます。
〜参考音源〜
身体を使って声を出す
ボールを遠くに投げる動作を入れながら、「うぉ〜い!」と声を出してみましょう。
何も動作を入れずに出す時よりも、大きな声を出せるようになります。
ボールを近くにそっと投げる動作を入れると小さい声、遠くにしっかりと投げる動作を入れると大きな声になるはずです。
また、豪速球を投げるように腕を速く動かして「うぉいっ!」と言うと、上記のスタッカートのように短く勢いのある声になります。いろいろ試してみましょう。
動作を大げさにすればするほど、効果があります。まずは声を出さずに、身体の動作だけでやるのもいいかもしれませんね。
このトレーニングは企業の話し方研修でもよくやりますが、10人中8人くらいは大きな声が出ています。
メガホンのように手を口にあてる
メガホンのような形になるように手を口にあてて、遠くに声を出すようにすると、大きな声が出やすくなります。
手を使った時と使わない時で、どちらが大きな声を出しやすいか試してみてください。
リップロールでウォーミングアップ
明るく芯のある声をつくるための練習として、リップロールをやりましょう。
リップロールとは上唇に息を強くあてて、ブルブルと震わせながら声を出す方法です。
これをやっていくことで、明るい声を出す時に必要な筋肉をうまく使えるようになります。
しかし、普段からあまり話さない人、表情がかたい人はなかなかできませんので、手を使います。
両方の口角の少し下に指をあて、少し持ち上げてみましょう。そうすることで、上唇に息が入りやすくなり、唇が震えてきます。
リップロールはボイストレーニングには欠かせない練習ですので、鏡を見て指の位置と口角の上がり方を確認しながらやってみましょう。
リップロールを動画で確認!
腹式呼吸をマスターする
大きい声を出すためには、正しい呼吸法が必要です。
それは「腹式呼吸」です。腹式呼吸は吐く息の強さと量をコントロールでき、様々な声が出せるようになります。
大きな声を出す時に腹式呼吸ができていないと、喉が痛めてしまうこともあります。
腹式呼吸をマスターしていれば、風邪以外で喉がかれることはほとんどなくなりますので、基本からしっかりトレーニングしてみましょう。
まずは試しに、息を大きく吸ったり吐いたりと、繰り返してみてください。
その時に胸や肩が動いていると、胸を使った「胸式呼吸」になっています。
胸式呼吸は話す時には向いていないので、改善する必要があります。
腹式呼吸は息を吸うとお腹が膨らみ、吐くとお腹がへこみます。
実際に息がお腹にまで入っているわけではありませんが、肺の横隔膜が大きく下に下がり、内臓が押し出されることで、お腹が大きく出てきます。
トレーニングのコツは、息を吸うことではなく、「吐くこと」からスタートするということです。しっかりとお腹がへこむように、息を出し切ってください。
その後、お腹の力を抜けば自然に息が入り、お腹が大きく膨らむはずです。
腹式呼吸の詳しいトレーニング方法は、こちらをご覧ください。
腹式呼吸を動画で確認!
鼻腔に声を響かせる
大きな声を出すためには、身体に声をしっかりと響かせることが大切です。
アコースティックギターをイメージしてください。
ギターの音の出る仕組みを人間にあてはめてみます。
※()は人間
◎指(息)で弦(声帯)を鳴らすと音が発生する→それが木のボディ(鼻腔)に響くことで大きな音が出る
どうでしょうか?もしもアコースティックギターに木のボディがなければ、弦を鳴らしても小さな音しか出ません。
人間も同じように、息を声帯にあてて音を作り、それを鼻腔に響かせなければ、小さな声にしかならないということです。(※鼻腔以外にも、喉の咽頭、口の口腔なども響きます。)
鼻腔に響かせる方法
鼻腔に声を響かせる方法として、一番簡単なのはハミングです。鼻歌のようなものですね。
nの発音で「ん〜」と言ってみると、鼻のあたりに響きを感じませんか?
「ん〜、あ〜、ん〜、あ〜」と少しずつ音量を上げていくような練習をすると、大きな声を出す感覚をつかめるはずです。
できれば、鏡で口の開け方も確認しながら行いましょう。「あ〜」の時に口を縦に開け、喉の奥が見えるようにしましょう。
ハミングを動画で確認!
喉をしっかり広げる方法
声を大きくするためには喉をリラックスした状態で、大きく広げる必要があります。
喉を大きく広げる、声帯でできた音が鼻腔などの空洞に伝わりやすくなり、自然に大きな声を出せるようになります。
あくびをすると大きな声が出る
普段声が小さな人も、あくびの時は喉の奥が広がるので、「あ〜」と声を出せば大きな声になります。
鏡で口の中を確認してもらえれば、喉の奥がしっかり見えている状態になるはずです。
舌根を鍛える
舌根(あごと喉仏の中間あたりにあります)を鍛えることで、喉を広げることが上手になります。
鏡を見ながら「あ〜」と声を出した時に、喉の奥が見えない人は、舌の付け根が浮き上がってしまっています。
舌の奥を下げて喉を広げるためには、舌根を鍛える必要があります。
舌根を鍛える簡単なトレーニングは、口の中で舌を大きく円を描くようにグルグルと回すことです。
注意する点としては、ゆっくりと一定のペースで回すこと、できるだけ大きく円を描くことです。
同じ方向だけでなく、反対回りでもやっていきましょう。
舌の奥に疲労感が出てくるまで、しっかり回してほしいのですが、5周ずつくらい回すと限界がくる人が多いです。
周やってもなかなか疲労感がない人は、ペースが早すぎるか、大きく回せていない可能性があります。
舌の筋肉は「つきやすく落ちやすい性質」があります。毎日最低1セットは行うようにしましょう。
口を大きくハッキリと動かして話す
小さな声で話す人の大半は、口をあまり動かさずに話してしまいます。
口を大きく開けて話すことで、声の通り道も大きくなり、大きな声を出しやすい状態になりますので、鏡で確認してみましょう。
その時に口が大きく動いていれば、大きな声を出す準備はできているということになります。
滑舌にも影響が。。。
口をあまり動かさないで話してしまうと、母音がハッキリとせず、滑舌が悪く聞こえてしまいます。
いくら声を大きく出すことができても、滑舌が悪いと周りに良い印象を与えることができません。
口をしっかり動かす滑舌練習を普段からやってみましょう。
◎イウエオア×4回
普段話す時に意識すること
練習では大きな声が出たとしても、実際に話している時についつい小さな声になってしまうと、とてももったいないですね。
ここからは、話している時に意識すべきポイントをご紹介します。
遠くに声を出すように話す
大きな声を出すためには、話している相手よりも遠くに声を出すようにしてみましょう。
1メートル先に話す相手がいるのなら、3メートル先に声を出すイメージです。
たとえば遠くの人を呼ぼうとすると、大きな声を出さないと聞こえませんよね?遠くに声を出すイメージを持って話すことで、自然と声が大きくなります。
1つ目の音(言葉)を大きく出す
最初の音が大きく出れば、自然とそのあとも大きな声を出しやすくなります。
※「おはようございます」だったら「お」、「ありがとうございます」だったら「あ」など。
しかし、最初の音が小さく出てしまうと、そのあとも大きな声は出ません。もし大きい声が出たとしても、かなり不自然に聞こえてしまいます。
最初の音をどう出すかによって、全ては変わっていきます。
悪い例と良い例を聞き比べてみましょう!
話す相手よりも少し大きな声を出す
話す相手がどれくらいの大きさの声を出すかによって、こちらの声の音量もコントロールしましょう。
相手が小さい声で話している時には、自分の声も小さくなりやすいです。
しかし、相手よりもあまりに大きな声を出してしまっても不自然ですので、相手よりも少しだけ大きな声を出すように心がけてください。
笑顔で話す
身の回りにいる人を思い返してみましょう。いつも笑顔で話す人と、無表情で話す人、どちらの方が声が大きい傾向がありますか?
前者の「笑顔で話す人」ではないでしょうか?笑顔で話すことで、口をしっかり動かせる、鼻腔に声を響かせやすくなるという効果があります。
できるだけ明るい表情で話すことを意識するだけでも、大きな声を出しやすい状況を作ることができます。
〜参考ページ〜
スマホで自分の声を聞いてみる
自分はどんな声を出しているのか、どれくらいの大きさなのか、しっかり自覚することが大切です。
スマホの「ボイスメモ(ボイスレコーダー)」のアプリを使って録音してみましょう。
内容は何でも構いませんので、できる限り大きな声で下記の文章を読んでみましょう。
「ありがとうと嬉しそうに、笑顔でお礼を言う」
少し違和感があるかもしれませんが、録音から聞こえてくる声が周りの人が聞いている「本当のあなたの声」です。
実は、自分自身の声は頭蓋骨の骨伝導によって、響きの良い声として聞こえています。しかし、自分以外の周りの人には、空気振動のみで声が伝わっていきますので、響きが薄くなるんですね。
(私も初めて自分の声を録音して聞いた時は、とてもショックでした。。)
録音した声を聞いて、改善したいポイントを明確にしましょう。
〜参考ページ〜
まとめ
- 大きく笑う
- エッジボイスを出す
- 身体を使って声を出す
- メガホンのように手を口にあてる
- リップロールでウォーミングアップする
- 腹式呼吸をマスターする
- 鼻腔に声を響かせる
- 口を大きくはっきり動かして話す
- あくびをすると大きな声が出る
- 舌根を鍛える
- 遠くに声を出すように話す
- 1つ目の言葉を大きく出す話す
- 相手よりも大きな声を出す
- 笑顔で話す
- スマホで自分の声を聞いてみる
大きな声を出せるようになるには、トレーニングと習慣化が大切です。
いくら大きな声を出す技術を身につけたとしても、それを普段から使えないと意味がありません。
その時に必要なことが「意識すること」です。まずは意識して大きな声を出そうとしなければ、習慣化できません。
意識の積み重ねによって、「無意識」でも自然に大きな声を出す習慣がついた時、本当の意味で「改善した」と言えるのです。
最初から1日中意識して大きな声を出し続けることは難しいので、まずは普段のあいさつから大きな声を出していくとコツをつかめるはずです。
是非チャレンジしていきましょう!
最新記事 by 福永智樹(ボイスプロデュース 代表講師) (全て見る)
- 自己効力感を高める方法を厳選【自己肯定感との違いも解説】 - 2022年5月24日
- 【上から目線にならない話し方】ポイントやコツを解説します - 2022年5月20日
- 【趣味の話】自宅でビカクシダを育てています - 2022年5月18日